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人物画のグループで描いた作品を紹介します


by shmino

うさぎ


  前回に続き、詩村あかねさんが朗読された
  もう一つの詩「うさぎ」を紹介します

  こちらは2010年に白鳥省吾賞を受賞された詩です

        う さ ぎ
  さびしいと うさぎは 死んでしまうのだって
  死んで
  さびしかったことを 知らせるのかな
  こんなに さびしかったのに 気づいてもらえなかったと
  かたく つめたく なって
  ゲージのすみで 死んだ うさぎ
  野菜クズは うさぎのために いつも冷蔵庫に入れておいたし
  天気のいい日は ベランダに
  ゲージをだして 日光浴もさせたけど
  それは 愛じゃなかったのかな
  なにが うさぎをさびしくさせていたのだろう

  ほどよく焼けたクロワッサンみたいな うさぎだった
  焼きたてのパンのように やわらかく まるまって
  人肌のような ここちよい空気を いつも発散していた

うさぎ_b0182978_108321.jpg

  こうして 思い出そうとすれば
  うさぎの愛らしさや 命のぬくもりが
  ありがたかったと わかるのに
  鳴き声も立てない 無表情なうさぎを ベランダの一鉢のように
  わたしは 感じていたのかもしれない
  おなかがいっぱいでも 雨風が防げても 暑くも寒くもないのに
  生きものは 死んでしまう
  唐突に 生きることを あきらめてしまう
  誰かを癒したり 誰かに叱られたり褒められたり
  話しかけられたり 見つめたりされながら
  生きているものは
  わずかに細い命の糸を 紡いでいくものなのかもしれない
  自分の存在が 誰かに迷惑をかけたり 誰かを喜ばせたりすることで
  命のベクトルは 明日へ向かうのかもしれない                  No.479
     
うさぎ_b0182978_102023100.jpg

  うさぎの亡骸を ベランダから見える ハナミズキの根元に埋めた
  空が 急に 秋になった気がした
  決壊したダムのように
  わたしは泣いた
by shmino | 2013-06-13 10:26 | Comments(0)